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交通事故相談
2016年04月20日 [交通事故 徒然]
 今日はシートベルトを着用しないことが事故の際の責任にどう影響するかを考えます。

 そもそも、現在シートベルト着用はどのように義務付けられているのでしょうか。
 まず、当然のことですが、自動車の運転者はシートベルト着用が義務づけられています(道路交通法71条の3第1項)。また、運転者は、同乗者に対しても、シートベルトを着用させる義務があります(同条第2項)。そして、これらの義務に違反した場合、違反点数の加点処分(1点)が定められています。
 このように、シートベルトの着用義務は運転者に課された義務であり、運転者以外の同乗者が負う義務ではありません。つまり、仮に助手席の同乗者が自動車の免許を持っていたとしても、その同乗者がシートベルトをしていないことで違反点数の処分を受けるのは運転者だけということになります。
 なお、法改正による法律の変遷があるため、「高速道路では義務だが一般道は違う」とか、「運転席、助手席は義務だが後部座席は義務ではない」といった誤解が一部で残っているかもしれませんが、現在では、全ての座席において着用が義務付けられています。そして、その義務を負っているのは運転者です。
 ここで、「公共のバスはシートベルトをしていないし、そもそもシートベルトがないけど、なぜだろう?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。それは、バスは例外的に基準が緩和されているためであり、この場合シートベルトをしていなくても運転者を含め、誰も法律に違反してはいません。一方で、高速道路を走行するバスについてはシートベルトの着用義務がありますので、乗客のシートベルト不装着は運転者の義務違反にあたります。

 さて、シートベルトの着用義務を確認したところで、交通事故の際、シートベルトの不装着がどのように考慮されるのか、過失相殺(事故で損害を負った側の過失割合を考慮し賠償額が制限される考え方)の観点から見てみましょう。次のような事例を考えます。

〜ケース1〜
 Aさんが運転していたところ、Bさんが運転する車と衝突してしまいました。Bさんの車には、助手席にCさんが乗っていましたが、Cさんはシートベルトをしていなかったため、激しくフロントガラスに頭をぶつけて大ケガを負ってしまいました。Aさんとしては、事故を起こしてしまったこと自体は大いに反省しいていますが、Cさんがシートベルトを着用していれば大ケガの程度は軽かったはずなので、損害額をすべて賠償することにあまり納得がいきません。

 まず、先ほど述べたとおり、運転者以外の同乗者であるCさんにとっては、シートベルトの着用は義務ではありません(運転者Bさんの義務)。そうなると、Cさんとしては、シートベルト着用はCさん自身の義務ではないのだから、シートベルトの不装着によって大きなケガを負ったとしても、Aさんが損害額を全額支払うべきだと言いたいかもしれません。
 しかし、Cさんに法的義務がなくても、社会常識的にシートベルトをすることが当たり前になっているのであれば、過失としてとらえることは可能です。実際、多くの裁判例で、同乗者のシートベルトの不装着を理由に過失相殺が認められています。今回のケースでも、Cさんの過失を認め、Cさんの負った損害額全額をAさんが負担するのでなく一部はCさん自身が負担する可能性はある程度高いでしょう。

 もっとも、シートベルトの不装着があれば、常に過失相殺が認められるとは限りません。過失相殺が認められるためには、シートベルトの不装着によって大きなケガをしてしまったという「因果関係」が必要です。
 次のようなケースを考えてみましょう。

〜ケース2〜
 Dさんが運転する車両が信号待ちで停止していました。その際、Dさんはシートベルトを着用していませんでした。そこへ、Eさんが運転するオートバイが前方から突っ込みフロントガラスを突き破り、Dさんは大ケガを負ってしまいました。

 この場合、Dさんのシートベルト着用の有無に関係なく、Dさんは大ケガを負ってしまった可能性が高いでしょう。つまり、シートベルトの不装着とケガの程度の「因果関係」が否定されそうな事案です。そうなると、Dさんのシートベルト不装着は、ケガをもたらした「過失」とはいえず、EさんがDさんの損害を全て賠償することになります。

 シートベルト不装着と類似の事案として、オートバイや原付バイクとの事故の際に、オートバイやバイクの運転手がヘルメットを着用していなかった場合も、過失相殺の問題として考慮される可能性があります。

 ここまでは、民事上の損害賠償の観点から検討してきましたが、そもそもシートベルトの不装着は、どの座席に座る人にとっても、事故の際に大きなケガをもたらす可能性を高めてしまうことは間違いありません。後部座席であったり、ちょっとした距離のドライブであっても、シートベルト着用を心掛けることが大切です。


2016年03月16日 [交通事故 徒然]
 近時、飲酒運転に対する取り締まりや罰則が厳しくなっています。

 今日は、Aさんが会社の同僚Bさんと飲食店でお酒を飲んだ後、Bさんが運転する車で家まで送ってもらっていたところ、Bさんが歩行者をはねてしまったケースを取り上げます。
 この場合、お酒を飲んだ経緯や、送ってもらった経緯も影響するため、一概にはいえませんが、Aさんが運転を一切していなくても、Bさんの飲酒運転による事故に寄与したとして、歩行者に対する損害賠償責任(民事責任)を負う可能性があります。
 また、少なくとも、運転手が飲酒していることを知ったうえでその車に同乗する行為は、道路交通法上に違反しており刑罰の対象となります(同法65条4項、117条の2の2第6号、117条の3の2第3号、刑事責任)。

 それでは、AさんがBさんと飲食店で飲酒し、酒に酔っているBさんが運転して帰ろうとしていることを知りながらそれを止めずに別れた場合で、Bさんが事故を起こしてしまった場合はどうでしょうか。
 この場合、一緒に食事をとっていたとはいえ、事故を起こした車に同乗していたわけではないので、さすがに他人の行動にそこまで責任を負うことはおかしいという考え方もあるでしょう。
しかし、現実には、このような場合であっても、Aさんが損害賠償責任を負う可能性があります。
 実際の裁判例においても、類似の事案において、飲酒運転者と一緒に食事をしていた人物の損害賠償責任(民事責任)を認めたケースがあります(東京地方裁判所判決平成18年7月28日)。
 もちろん、Aさんがどの程度Bさんの飲酒に関与していたのかということや、その場にいた人数や互いの関係性など細かい事情によって結論は変わるでしょう。しかし、いずれにせよ自分自身が飲酒運転をしていないからといって責任を負わないとは言い切れないのが近年の傾向であることは確かです。
 そして、刑事責任の点についても、「(酒気帯び)運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。」(道路交通法65条3項)との定めがありますので、Aさんの行動は刑罰の対象にもなります(同法117条の2の2第5号、117条の3の2第2号、刑事責任)。

 さらには、最初のケース、二つ目のケースいずれの場合も、Aさんが飲酒運転を唆(そそのか)したものとして、免許取消や、免許停止の処分を受ける可能性もあります(道路交通法103条1項6号、行政責任)。

 このように、飲酒運転については、飲酒運転をした本人は当然のことながら、その人が飲酒運転するであろうということを知ったうえで一緒に飲酒した人にもさまざまなペナルティがあります。
 誰かと一緒にお酒を飲むときに、その人が車を運転する可能性があるとわかった場合は、その人だけの問題でなく、自分自身の問題ともなりうることにお気をつけください。

2015年12月24日 [交通事故 徒然]
 交通事故により物損が生じた場合、損害賠償として修理費等を請求することになるのですが、それだけでは納得できない、という場合があります。

特に、新車を購入してすぐに事故に遭ったような場合、納得できないことが多いと思われます。
楽しみにしていた新車だったのに。。。
縁起が悪くてもう乗りたくない。。。
などなど、車への想いが強ければ強いほど、修理費だけでは納得できないものだと思います。

修理費ではなく新車自体(買替え)を請求したいと言われる方も少なくありません。しかし、残念ながら、判例・実務は、買替えを認めていません。

そこで、このような場合にアドバイスをさせて頂くのが、評価損の請求です。
評価損には、技術上の評価損と取引上の評価損があると考えられています。

 まず、技術上の評価損というのは、修理をしても完全な原状回復ができず、機能や外観に何らかの欠陥が残存している場合の、車両の価値の低下です。

例えば、美観が求められるタクシー等について、認められることがあります。

 次に、取引上の評価損というのは、事故車には隠れた欠陥があるかもしれない、縁起が悪い等の理由から、中古車市場において価格が低下する場合の、車両の価値の低下です。

取引上の評価損については、否定的見解もありますが、裁判実務では一般論としては肯定しています。

具体的には、
・車種
・走行距離
・初度登録からの期間
・損傷の部位、程度
・修理の程度
・事故当時の同型車の時価
・財団法人日本自動車査定協会の査定(事故減価額証明書)

等を総合考慮して算定すべきものであると考えられています。

一例として、
・車種:レクサス
・4万8315q
・2年4か月
・左側面のほかルーフパネル、足回り構成部分にも損傷
・修理費189万4116円
の事案で、60万円の評価損が認められたケースがあります。

 なお、慰謝料を請求したいと言われる方もいらっしゃいますが、就寝中の自宅にトラックが衝突したような場合や家族同様の愛情を注いでいたペットが死亡したような場合を除き、物損について慰謝料は認められていません。


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